このページは私が知っていること、持っている文献からフェレットの飼い方・健康・病気のことについて紹介します。
もし、「この病気のことが知りたい!!」「こういうときどうすればいいの?」等があればBBS・メールでお知らせいただければと思います。
ただ、私もフェレットのことに関してはまだ勉強中なのできちんとしたお答えができない場合がありますのでご了承ください。




*餌と食生活
フェレットは完全に食肉目(肉食)に属します。消化管は短く、動物性タンパク質を消化するようにできています。
よって、消化管を食べ物が通過する時間は約3時間です。腸では繊維を消化・吸収することができません。
消費カロリーは、体重1kgあたり1日200〜300kcalです。
     
与えるフードは市販のフェレットフード。
また高品質の子猫用フードも、タンパク質が34〜38%であれば与えることができます。
脂肪は最低でも20%が望ましいでしょう。
歳をとればとるほど、タンパク質は高品質で消化しやすいものが大切となります。
タンパク源は、植物性よりも動物性が必要です。
穀物(特にとうもろこし)を多く含む食生活は、膀胱結石を起こす可能性があります。
フェレットはあまり魚を好みません。

脂肪酸は20〜30%必要で、必須脂肪酸を含んでいなければなりません。(リノール酸・リノレン酸・アラギドン酸)
脂肪酸が欠乏すると、毛が乾燥してゴワゴワになり、掻痒症になります。
脂肪酸は、市販の製品で補うことができます。バナナやグレープなどの果物をおやつとしてときどき与えることもできます。
フェレットには生肉を与えないでください。腸内寄生虫が発生しボツリヌス菌による致命的な状態になる可能性があります。


《おやつ》
加熱処理した肉や卵(生肉は×)などがフェレットに向いています。骨のあるものは避けてください。
果物や野菜は少量ならかまいませんが、食物繊維が多いのでほんの少しにしてください。
繊維が多すぎると、粘液状の軟便を起こします。
精製糖分をたくさん含む食物は、絶対に与えないでください。
膵臓に負担をかけ、真性糖尿病を起こす可能性があります。





*ジステンパー
<原因>
ジステンパーウイルスの感染による。100%の致死率ともいわれている。
伝播はによる空気感染と、目ヤニ、鼻汁等の分泌物や糞尿等による 直接感染。
直接感染では感染した個体に接触した衣服や靴を介しても移る。
潜伏期間は7〜10日。

<症状>
感染してから潜伏期間の後に、まずは皮膚の発疹がみられることが多い。
   ☆下顎・口唇・眼周囲等の発赤、炎症。 体・股・肛門周囲の湿疹。
   ☆四肢の肉球の部分が過角化.。(hard pad(ハードパッド)と呼ばれる)
その後、結膜炎を伴う目ヤニと鼻汁がみられ、40℃以上の高熱、元気喪失、食欲不振等の一般状態の悪化がみられることもある。
末期まで一般状態に変化がみられず、皮膚の発疹だけの症状も多いが、中には突然死する個体もみられる。
多くが進行すると運動失調、神経症状や気管支炎、肺炎等の呼吸器症状を現し、衰弱、致命的な経過をたどる。

<予防>
予防接種。
現在、フェレット用に開発されたワクチンは日本にないため、犬用の弱毒化した生ワクチンを使用していることが多い。

《予防接種後の副作用について》
ひとつは、ワクチンを製造する過程で必要とされる蛋白質に対するアレルギーである。
もうひとつは、病原性がないとはいえ、接種されたウイルスによって一時的に発熱などの症状を現す場合である。
急性のアレルギー反応は嘔吐、下痢あるいは血便を引き起こし、次第には皮膚に発疹が現れ発熱がみられる。
接種後、30〜60分位に発生する。






*インフルエンザ
<発生>
人とフェレットの相互に伝播する。(人畜共通)

<原因>
インフルエンザB型の感染による。
伝播は目ヤニ、鼻汁等の分泌物による直接感染あるいは飛沫による経気道感染で、潜伏期間は短い。

<症状>
軽症例である場合が多く、呼吸器症状として 目ヤニ、鼻汁、鼻腔閉塞、くしゃみ、発熱、下痢等である。
重症例では食欲不振、脱水等もある。





*インスリノーマ
<発生>
膵臓β細胞腫とも呼ばれている。中高齢の個体に発症し、副腎疾患、脾腫が併発することが多い。

<原因>
膵臓β細胞の腫瘍、過形成等の変化で過剰のインスリンを産生し、これによって低血糖を引き起こす。
遺伝や食餌が発生に関与しているともいわれている。

<症状>
体重減少、削痩、元気消失、過呼吸、異常行動
(例 : ・数分間動きを止めてぼんやり宙を見つめる。
     ・間違って噛み付く
     ・嘔吐して口で泡をふく
     ・前足で口の周りを掻くしぐさをする   など)
一般的に食欲には影響しない。
極度の低血糖のため、痙攣発作、方向感覚消失、よだれ、後肢跛行(びっこ)や麻痺、失明等を引き起こす。
異常行動や痙攣発作は個体ににより不定期に発生する。

<治療>
本疾患の長期の予後管理は不可能である。一般的に自宅での食餌療法と内科療法で経過を観察する。
食餌療法は、頻繁に食餌を摂らせ、絶えず十分なカロリーを供給することである。
食餌内容は蛋白質、脂肪、複合炭水化物を豊富に含むものが理想である。
特に運動後や睡眠後に供給すると良い。高蛋白質、高脂肪のフェレットフードを主体に給餌する。
低血糖の症状が見られた場合、頻繁に糖分を摂取させるが、単糖であるハチミツ糖を与えるとインスリンの分泌を刺激し、直後にリバウンドである低血糖になるので注意する。
また、クロムが血糖値とインスリンの値を安定させるため、クロムを含んでいるビール酵母の投与も推奨されている。





*DIM
DIMはフェレットの新しい病気と言える。

<原因>
未だ不明。免疫疾患?
ワクチン、遺伝的素因、ウイルス感染、食物など原因は現在調査中。
化膿性炎症にも関わらず、細菌感染・感染性微生物(バクテリア・ウイルスなど)の発見は現在のところ無し。

<特徴>
致命的な筋肉の炎症を引き起こす。3ヶ月〜18ヶ月の若令フェレットに発症。

<症状>
40℃以上の発熱、虚脱、衰弱、食欲不振、透明の鼻汁。下半身(背中や尻部など)の痛み。呼吸数・心拍数の上昇。
頸部・肢部などの外部リンパ節の腫脹。リンパ節の化膿性炎症から、骨格筋、心臓、食道へ広がる。
脳、肝臓、肺、脾臓などにも影響を及ぼす。

<結果>
突発的な発症、数週間かけて重体に至る。生存率は不明。

《参考文献》
http://www.ferret.org/news/2005-03-28%20updated%20DIM.htm





*アリューシャン病
<原因>
パルボウイルス科 パルボウイルス属 ミンクアリューシャン病ウイルス(以下ADVとする)の感染により自己免疫応答が体内で起こる。
アライグマ、スカンクなどにも感染・発症する。ミンクでは研究がすすんでいるが、フェレットについてはまだ不明な点も多い病気である。

<感染経路>
感染した動物の糞尿や唾液へ触れることでの接触感染や、妊娠中の母親から子供への母子感染が疑われている。
潜伏期は約200日に及ぶこともあるという。
しかしながら、AD感染のある同居フェレットとの接触があっても必ずしも感染があるわけではない。

<症状>
症状はさまざまで、必ず起こる症状やこの病気に特徴的な症状はない。
一般的な症状は慢性消耗性で、体重減少、元気消失、黒いタール状の軟便(メレナ便)も呈する。
あるいは突然に四肢の麻痺、後躯麻痺等の神経症状、痙攣、癲癇などの発作が起こることもある。
また免疫力が低下するため、肺炎や気管支炎、皮膚病等の難治がみられることもある。
目に炎症がおきて、緑内障や白内障になることもある。

<診断方法>
ADVの抗体検査。

<治療>
有効な治療法は現在なく、対症療法としてステロイド等の投与、点滴や強制給餌(支持療法)で延命の処置をとる。
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